マネジメント
Manageの原義は、「馬の轡を取る、調教する」である。
昔のオックスフォード英英辞典では、Manageの説明として“like handling sails(帆を操るように)”と形容していた。今と違って道が整備されていない時代では、路面状況に合わせて馬を誘導しなければならず、船の帆は風の状況に応じて張り直す必要がある。つまり“風と潮目はいづれ変わる”という言葉ではないが、絶えず変化する状況に対応していくのがマネジメントの原義である。
マネジメントと混同される言葉の一つに“管理”がある。
管理が“一定の状態を保つ(理想の状態を維持する)”という意味合いが強い言葉であるのに対し、マネジメントは“状況の変化に最適化(状況の変化に対応して、組織の状態を変化)”させるという意味合いが強いことばであるため、この二つは別物として考えるべきである。
また、マネジメントは“経営”という意味でも使われることがある。一時代は経営=マネジメントと表されていたが、現在ではそうとは言い切ることはできない。なぜなら確かに絶えず変化する経営環境に対応していくことは経営者が行う判断の一つであるが、それは経営判断の一部でしかないからである。船(会社)を正しく目的(地)に向かって進ませるには正しい舵取り(ガバナンス:governance)が必要になってくる。状況に対応することだけを重視するといつの間にか目的地に向かうルートから大きく外れてしまう。また、目的地が不明確なままであればそれはもはや漂流でしかない。