正当化

正当化とは、自分の都合の良いように解釈し説明をすること。簡単にいうと言い訳をするということ。

「言い訳をするな!」と子供の頃怒られた経験を誰しもお持ちだと思うので、やってはいけないこととお考えだろう。また、経営判断をする上で、事実と意見(解釈)とはわけて考えること、特に自分にとって都合の良いような解釈を排除して考えることが必要であり、正当化が入り込まないように絶えず多大な注意を払う。

ところで、若い頃(子供の頃)の失敗が、歳をとると(大人になると)良い思い出に変わるという経験も誰しもお持ちだろう。失敗した時のあの苦しさ・やるせなさが、なぜ懐かしさに変わるのか?それは、記憶の中で正当化が起こるからである。このように正当化は心の安定を図るためにとても重要な行為である。もしも心の中で正当化が行われないと、私たちはいつまでも昔の失敗にこだわり・悔やみ続けることになるので人生はとても辛いものになってしまうだろう(※1)。

正当化は、(辛い)事実を都合の良い解釈に変えることで心を防護する仕組みである。したがって、正当化の論理(※2)は、絶えず自動的に、特に自分を守らなければならない状況であればあるほど、心の中に入り込んでくる。そしていつの間にか知らないうちに現実を自分にとって都合の良く解釈してしまうがために間違った判断に陥ってしまう。

私たちの考えは絶えず自動的に正当化によって汚染されている。対処法は自分の考えが汚染されていることを自覚し、どう汚染されているかをチェックし続けるしかない。

※1:過去に経験した苦しみは正当化によって良い思い出に変わるが、経験しなかったことで起こる苦しみはいつまでも後悔として心の中の傷として存在し続ける。過去の経験を都合良く変えることなので、経験がなければ変えようがなく辛いまま心の中に残る。

※2正当化の論理:正当化は一見論理的に見える形で心に侵入する。例えば児童虐待をする親の多くは暴力を振るっているのではなく、“正しくしつけ”をしているつもりでいる。いつの間にか彼らの中では、自分は正しいことを行っている理由づけができてしまっている。このことは上司によるパワハラでも起こり得る。彼らの多くは“部下が成長するには必要なことをしている”つもりでいる。

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